海外調達のマネジメント
金属加工製品を海外調達する際、失敗しやすいポイントがあります。
弊社では、中国語・台湾語ネイティブのスタッフが、日本品質を求めて海外工場と
「三元主義」によるコミュニケーション&マネジメントを行っております。
(1)言語や文化の違いから起こるミスコミュニケーション
「日本品質は厳しい」ということを耳にする機会はたくさんあると思いますが、これはどういった意味なのでしょうか? それは、「図面に忠実である」ということです。日本では、図面が加工のガイドラインであり、それを勝手に変更したりすることは、“あり得ません”。
どれほど難しい加工であっても、それを実現するために治具を考え、段取りを考え、加工を行います。もしくは、それがあまりに費用対効果が悪い(高精度 = 高価格 )と職人が考える場合には、依頼者に代替案を提案する(VA/VE)こともありますが、いずれにしても「勝手な判断」で、図面とは異なる品物を生産することは、許されるはずがありません。
この「判断」が国によって異なります。
これは金属加工に限らず、例えば日本であっても「歩きながらタバコを吸うこと」に対する意識は20年前と現在では、大きく異なっているでしょう
日本の顧客からの依頼で、金属加工を行うのですから、日本の「判断」を守っていただく必要があります。
これを「中国は品質が悪い」と言っていても、何も解決策は生まれません。どのような
「判断」をこちらが求めているのか、根気よく信頼関係を積み上げていくしかありません。
この時に問題になるのが「言語」の壁です。
「日本では、そういう判断は許されない」という、ただでさえ抽象的になりやすい話を、
「言語」の壁を超えて理解し合うことはとても難しいのです。
弊社では、中国・台湾ネイティブのスタッフが、コミュニケーションを行いますので、
言葉の壁は皆無です。
(2)工場直取引ではないことから起こるトラブル
日本の発注者が図面や加工に詳しくない場合、また、言語の問題で直接話しができない場合、間に現地の商社を挟んで発注を行うことがあります。 商社とは営業会社ですから、「営業トーク」を大げさに話します。
これまた「文化」「国民性」の違いから来る「判断」の違いですが、例えば、商社が工場見学として見せてくれた工場で、当社の部品が加工されるという保証はないのです。
また、為替変動により採算が悪くなると、加工先工場を通知もなく変更するということもあります。
日本人では考えられないことですが、それもまた「中国人は誠実ではない」ということではなく、それが彼らの”常識”なのです。
ですから、やはり、こちらの考えを正確に伝えるためには、工場と直で取引する事が最も確実です。ともに成長していくことを考え、現地工場の品質工場に寄与し、日本の顧客にもコストダウンを提案でき、「三方良し」を求めていくことが、結果的には海外工場の品質維持・向上につながると考えています。
(3)三元主義によらないマネジメントから起こるトラブル
図面が読めなかったり、加工が分からない担当者が発注をすることは、対日本の工場であっても、トラブルの元です。
弊社では、日本企業から図面を受け取った後すぐに、社内で図面のチェックを行います。
何か考えうるリスクがある場合は、事前に解消しておくことが最も重要です。
その後、コストダウンを行うために、どの企業に発注するのが良いか考えます。これは、金属加工においては、“その加工を得意とする工場に発注することが最も安価”という法則があるからです。つまり、その形状、その材質、ロットに慣れているところが、一番速いですし、安いわけです。 必要に応じて、海外工場と日本工場を使い分けますが、現在99%は海外工場で行っております。
コミュニケーションは全て三元主義(現場、現物、現実)に基づいて行い、定期的に海外工場を視察し、品質の維持管理に努めております。